住宅に鍵が開かないというトラブルはつきもの

はるか昔、日本で言えば弥生時代まで遡ると、人間はようやく簡素な住居を建てるようになっていました。ただし、その建物は現代とはほど遠く、縄文時代まで人間が住んでいたとされる「洞窟」よりは多少マシという程度のものだったとされています。
もちろん冷暖房などはありませんでしたが、それでも木を切ってそれを簡単に組み合わせただけのこの住居は、人間がそれまで住めなかった地域にも拠点を作るという点で非常に有用なもので、事実このことが日本人が「狩猟」に頼り切った生活スタイルを、米作りを主体に据えた「農耕」へと導く一助にもなったのです。

この簡単な住居の時代、人と人との繋がりは今の時代よりも強固だったと考えられています。そのため、当然各住戸の入口には簡単な布が掛けられた程度で、現代で言う「鍵を掛ける」などという概念すらありませんでした。
それが時代の進行と共に施錠の概念を生まれ、そのまま現代社会へと引き継がれ、結果として現代社会の住戸は「鍵を掛ける」という機能なしには成り立たなくなっています。つまり、今の時代の日本の家には、鍵が無いなどということはありえませんが、逆にこのことがトラブルの種にもなっているのです。

よく各メディアで「鍵のトラブル対応業者」のコマーシャルがあるかと思うのですが、これは「住宅に鍵が開かないというトラブルはつきもの」という、ある意味ニーズに応えたものです。
泥棒などのトラブルを避けるために住宅に付けられている鍵ですが、このことで、これらが機能しなくなる問題も内包してしまっているのです。