キーケースを丸ごと落としてしまった時の対処法

何かピンチに陥ったとき、そのピンチを運よく切り抜けられると「日頃の行いがよかったんだ」とか、悪い結果になると「日頃の行いが悪かったからだ」とかよく言うけれど、そうときに日頃の行いのいい悪いはあまり関係ないと思う。日頃の行いがよくたって悪いことが続く人は続くし、素行が悪くたってラッキーが続く人もいる。要は「運がいいか」か「運が悪いか」、もしくは「持っている」か「持っていない」かのどちらかではないだろうか。もし自分が後者だと思い当たるのなら…何か起きたときの対処法をあらかじめ頭に叩き込んでおけば、それ以上の被害は防ぐことができる。

そして間違いなく私は後者だ。税金だってちゃんと納めているし、レンタルビデオの延滞だってしたことがないし、誰かに意地悪をすることもなければ、落とし物があればちゃんと交番に届ける。それなのに、私はよくスリや痴漢に遭うし、自分が落としたものが交番に届けられることも殆どない。

だから今回、キーケースを丸ごと落としてしまった時は、目の前が真っ暗になって絶望的な気持ちになったけれど、「もう戻ってこないだろう」という前提で素早く対処することができた。キーケースを落とした場所は駅だと思われる。車のキーが入っているので、例えば駅前に車を停めて離れているときに、その拾い主が私の車の側でキーをカチカチ押せば、車が特定されてしまう。さらに車に積んでいる車検証を見れば、私の住所がわかってしまう。私の住所がわかれば、キーケースに入れていた実家の鍵も、会社のロッカーの鍵だって悪用されかねない。だから私はまず車のキーごと取り替えた。そして家の鍵を替え、実家と会社にも事情を説明して替えてもらった。もちろん警察にも紛失届を提出した。

結局やはりキーケースが警察に届けられることはなかったし、総額十万ちょっとの出費は痛かったけれど、勉強代、そして安心代なのだと自分を納得させたのである。